予防接種について
人間の体には「免疫システム」というものが備わっています。これは、一度侵入してきた細菌やウイルスなどの病原体が、再び体内に入ってきた際、その病原体に対抗する働きです。ワクチンは、この働きを利用したものです。前もってワクチンを接種しておくことで、「獲得免疫反応」を起こし、自分自身の抵抗力を上げ、感染症への感染および、さらに発症した場合の重症化予防が期待できます。
感染症は一度かかってしまうと、体力が落ち、免疫力も低下して、ほかの感染症にかかってしまう場合もあります。また持病が悪化してしまうということも起こり得ます。予防接種で低減できるそうしたリスクは、なるべく低減しておくことが、健康的な生活を送るためには重要です。
また予防接種は、一人一人が感染症に罹るリスクを低減することに加え、さらには社会全体に感染症が蔓延することを防いで、地域や職域の皆さまが健康的な生活を維持できることに役立つものですので、積極的に予防接種を受けられることをお勧めします。
当院で可能な予防接種
- インフルエンザワクチン
- 肺炎球菌ワクチン
- コロナワクチン
- B型肝炎ワクチン
- MRワクチン(麻疹・風疹)
- 水痘ワクチン
- 帯状疱疹ワクチン
- ムンプスワクチン(おたふく風邪) など
その他ワクチンについてはお問い合わせください。
肺炎球菌ワクチン
肺炎は常に日本人の死亡原因の上位に位置する疾患です。命にかかわるリスクもありますが、一度肺炎になった肺は元通りにはならない場合も多く、さらに肺炎にかかってしまうことで体力が低下するため、また肺炎にかかるという「肺炎の悪循環」に陥る危険性があります。そうしたリスクを低減するためにも、肺炎球菌ワクチンは有効です。
市中肺炎の約2~3割は、この肺炎球菌によるものと言われています。もともと肺炎球菌は、鼻やのどの奥にいることが多い細菌で、通常は、免疫力により感染症の発症が抑えられています。しかし高齢の方や何らかの理由で免疫力が低下している場合には、肺炎や髄膜炎などの感染症を引き起こしてしまいます。
肺炎はインフルエンザから併発することも少なくありませんので、肺炎予防のため、インフルエンザワクチンも併せて接種することをお勧めします
肺炎球菌の予防接種は、紀の川市内在住で条件の当てはまる方に公費補助があります。
下記サイトをご参照ください。
参考サイト
- 対象者となるのは、各年度に65歳・70歳・75歳・80歳・85歳・90歳・95歳・100歳になる方、および特定の条件を満たしている方です。
- 過去に23価肺炎球菌ワクチンの予防接種を受けたことがある方は対象外となります。
なお、再接種を希望される方につきましては、前回の接種から5年以内に受けるとなると接種部位から非常に強い痛みが現れるようになりますので、注意が必要です。
インフルエンザワクチン
風邪とよく似た症状を引き起こすインフルエンザですが、咳やのどの痛みなどに加えて急激に症状が悪化し、38度以上の高熱を発症すること、また関節痛や筋肉痛などの全身症状が現れるのが特徴です。
高齢の方、あるいは呼吸器疾患や心疾患、糖尿病など代謝性の疾患などの持病がある患者様は悪化しやすく、とくに高齢の方の場合は、肺炎を引き起こす可能性がありますので、予防接種を受けておくことをお勧めします。
インフルエンザの流行期間は毎年12~3月です。ワクチン接種から予防効果が現れるまでには約2週間後ですので、11月中旬までには予防接種を済ませておくとよいでしょう。また毎年、流行するインフルエンザの型は変化し、ワクチンもそれに合わせて変更されていますので、予防のためには毎年接種することが大切です。
インフルエンザの予防接種は、紀の川市内在住の満65歳以上の方には公費補助があります。
参考サイト
コロナワクチン
当院では新型コロナウイルスのワクチン接種実施医療機関です。
ワクチン接種をご希望の方は当院まで直接お問い合わせください。
お問い合わせはこちら
0736-77-7800詳しくはこちらもご覧ください。
B型肝炎ワクチン
B型肝炎ワクチンは、B型肝炎ウイルス(HBV)からの保護を提供します。このウイルスは肝臓に損傷を引き起こし、長期的には肝硬変や肝がんの原因となる可能性があります。ワクチンは通常、出生直後、1ヶ月後、6ヶ月後の3回投与され、免疫システムの反応を引き起こして保護を提供します。接種スケジュールは地域や個々の状況により変動します。接種により、B型肝炎の発症とそれに伴う肝硬変や肝がんのリスクが大幅に減少します。その重要性から、世界保健機関(WHO)は全ての乳児に対して出生直後24時間以内の接種を推奨しています。
MRワクチン(麻疹・風疹)
MRワクチンは、麻疹(はしか)と風疹(三日はしか)の二つのウイルスに対する免疫を生み出す生ワクチンです。これらの感染症は高熱や皮疹などの症状を引き起こす他、重症化すれば脳炎や出血、肺炎を起こす可能性があります。特に風疹は妊娠中の感染が胎児に重大な影響を及ぼす可能性があります。MRワクチンは、弱毒化した麻疹と風疹ウイルスを注入し、免疫システムが抗体を生成し、再感染時の迅速な反応を可能にします。通常、子供は1歳と小学校入学前に2回接種しますが、大人でも未接種の場合や免疫不足の場合には追加接種が推奨されます。MRワクチン接種により、個々の保護だけでなく、感染拡大の防止と集団免疫の達成が可能となります。副作用は一過性の発熱や軽度の発疹などがありますが、一般的には軽微です
水痘ワクチン(水疱瘡)
水痘ワクチンは、バリセラゾスタウイルス(水痘ウイルス)に対する免疫を提供します。水痘は子供によく見られ、発熱と全身のかゆい水疱疹が特徴です。ほとんどは軽症ですが、稀に重篤な合併症を引き起こすことがあります。また、ウイルスは体内に潜伏し、後に帯状疱疹を引き起こす可能性があります。水痘ワクチンは生ワクチンで、弱毒化したウイルスが免疫応答を引き起こします。これにより、再感染時に免疫システムが迅速に反応します。多くの国で子供に対し1歳と2~6歳での接種が推奨され、水痘の予防と症状の軽減、帯状疱疹リスクの低減に寄与します。
帯状疱疹ワクチン
帯状疱疹ワクチンは、バリセラゾスタウイルスによる帯状疱疹の発症を予防します。このウイルスは、水痘後に神経組織に潜伏し、何年も後に再活性化し帯状疱疹を引き起こす可能性があります。帯状疱疹は通常、体の一部に帯状の痛みや皮疹を引き起こし、場合によっては長期間の神経痛を引き起こす可能性があります。帯状疱疹やその合併症のリスクが年齢と共に増えるため、帯状疱疹ワクチンは通常60歳以上の成人に推奨されています。ワクチンはウイルスの再活性化を抑制し、帯状疱疹の発症率を大幅に減らし、発症した場合でも症状の重症度を軽減します。ワクチンは不活化タイプと弱毒化タイプの二つがあります。
ムンプスワクチン(おたふく風邪)
ムンプスワクチンは、ムンプスウイルスに対する免疫を提供します。ムンプスは子供に主に感染し、発熱、頭痛、筋肉痛、耳下腺腫れなどの症状を引き起こします。重症化すると髄膜炎や脳炎、難聴、睾丸炎などの合併症が起こる可能性があります。ムンプスワクチンは通常、MMRワクチン(麻疹、ムンプス、風疹ワクチン)の一部として提供され、弱毒化ウイルスを含む生ワクチンです。接種により免疫応答が生成され、将来の感染から保護します。子供は通常1歳と4~6歳頃に接種しますが、大人でも未接種や免疫不足の場合には追加接種が推奨されます。ワクチンはムンプス予防と感染拡大防止に重要で、副作用は通常一過性で軽度です。